2時間猫尽くし!映画『ねことじいちゃん』猫との豊かな暮らしを描く作品【ネタバレ含む】

こんにちは! モリスギ!編集部のナナです。

今回ご紹介する「にゃんこのおすすめ」は、映画『ねことじいちゃん』です。

にゃんこ
にゃんこ
「世界ネコ歩き」でおなじみ岩合光昭さん初映画監督作品だにゃ!
百面相の猫がかわいくてかわいくて、心がぽわぽわしたよ〜!
編集部ナナ
編集部ナナ

この映画には、大きな事件や出来事はいっさい出てきません。映画として刺激も何もありません。
ただ、愛くるしい表情の猫たちをこれでもかというほど楽しめます。

まるで、日なたぼっこしているかのような、ほんわかぬくぬく、やさしいストーリー。日々のあれこれに疲れた心がすーっとほどけていきます。

また、ペットの殺処分がまだまだ多い昨今。「猫と最期まで生きるとは?」という重い問いに、『ねことじいちゃん』ならではの軽やかな答えを提示してくれました。

猫好きな方、猫をこれから飼ってみたい方にとって必見の映画です。

映画『ねことじいちゃん』はどんな作品?

『ねことじいちゃん』は、2019年2月22日公開の劇場用作品です。

猫の日、2月22日に公開。 猫が主役といわんばかりの映画ですよね!

監督は、岩合光昭さん。世界的に高名な動物写真家の岩合さんが、今作品で映画監督デビューを果たしました。NHKBSプレミアムのドキュメンタリー番組『世界ネコ歩き』をきっかけに、一気に知れ渡ったお名前。2017年には『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き コトラ家族と世界のいいコたち』のタイトルで映画化、さらに2021年1月8日、俳優の中村倫也さんのナレーターで第2弾『劇場版 世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』が公開されています。

岩合さんと言えば猫、もうすっかり定着しましたよね。

原作は、ねこまきさんによる、累計発行部数35万部の大人気同名コミックエッセイ(KADOKAWA刊)です。映画化にあたって大抜擢されたのが、猫の魅力を最大限に映像におさめられる岩合さんというわけ。

初の映画監督を務める岩合さんを支える俳優陣も、とても豪華な顔ぶれです。

愛猫タマと暮らすじいちゃん・大吉さんに立川志の輔さん。奥様役に田中裕子さん。大吉さんのお友達・巌さんを小林薫さん、サチさんを銀粉蝶さん。カフェ店主・美智子を柴咲コウさん、診療所の医師・若先生を柄本佑さん他が、映画をやさしい空気感にいろどります。

2年前に妻に先立たれ、飼い猫のタマと暮らす大吉、70歳。毎朝の日課はタマとの散歩、趣味は亡き妻の残した料理レシピノートを完成させること。島にカフェを開いた若い女性・美智子に料理を教わったり、幼なじみの巌や気心知れた友人たちとのんびり毎日を過ごしている。しかし友人の死や大吉自身もいままでにない体の不調を覚え、穏やかな日々に変化が訪れはじめた矢先、タマが姿を消して――。
一人と一匹、生まれ育ったこの島で、共に豊かに生きるために下した人生の選択とは――?
※文章引用:映画『ねことじいちゃん』公式サイトより

次の日がおやすみの夜に、ボーッとのんびりと観てほしい映画です。

※以降、ネタバレを含む感想が続きます。ご注意ください。

人間と猫の“共生”を描く

映画『ねことじいちゃん』は、日本のどこかにある小さな島に生きる、普通のおじいさんのごくごく日常を描いた作品です。

老いれば必ず誰にでも起きる出来事。その一つひとつを淡々とカメラが追います。

なにか特別なことがあるとしたら、この小さな島にたくさんの猫が住んでいること。それは、どこかの飼い猫であったり、野良猫になってしまった子も含まれているかもしれません。でもどちらにしても島民には関係なく「みんなの猫だからね」と、分け隔てなく面倒をみます。

人間と猫が自然に共生している風景。 どこか懐かしさすら感じます。

私は残念ながら猫を飼ったことがありません。猫のいる暮らしは具体的には想像できないのですが、映画を観て小学校に住み着いていた猫を思い出しました。

たとえば、登下校中に校門に立つ校長先生のそばに寝転がっていました。また、休み時間には、児童にかわるがわるかわいがられ、用務員さんの足元に頭をこすりつけて甘えたり。

今思い返すと、あれは野良猫だったかもしれません。小学校というコミュニティーの中に居場所を見つけた猫ちゃんだったのですね。

映画『ねことじいちゃん』には、そんな猫ちゃんがたくさん登場します。

島の住人は、人間とそこに住む動物すべて。漁師さんは猫に獲った魚を少しわけてあげるし、軒先に入ってくる猫にも寛容です。接し方は、地域の子どもたちと同じように。人間と猫の垣根を感じない自然なふるまいに、昔ながらの暮らしぶりを感じました。

いつだってどこにだってそばにいる。突然姿をくらます。それが猫。

主人公・大吉さんは、妻に先立たれてから、いつもタマと一緒に過ごします。

朝起きるとき、食事をつくるとき、歯みがきをするとき、散歩をするとき。いつだってどこにだって、なにも言わずそばにいるのがタマです。

猫ですから、突然フラっとどこかへ行ってしまうこともあります。

タマがいないとどこか不安な大吉さん。すぐさまタマを探しに行きます。自由気ままなタマは、気になるメス猫・ミイちゃんとの逢瀬を楽しんじゃいます。

タマを見つけた大吉さんは「あー、タマさんや、ここにいたのか」とニコニコ。タマに振り回されて、逆に楽しそうな大吉さんがとてもかわいらしいです。

ある日突然、妻が拾ってきた子猫。湯たんぽであたためて元気を取り戻した生まれたばかりの猫は6歳と7ヶ月。いつのまにか人間でいうと40歳ほどに。毎日生活をともにすると、家族同然の存在になります。

子どものように甘えたり、家のモノにいたずらしたり落としたり。小さな事件が毎日起こります。それが、大吉さんにとってもタマにとっても、かけがえのない大切な時間。

よい距離感で、お互いを支えるパートナーになっています。

老いて。終の棲家をどうする?

映画の終盤、大吉さんのお友達でひとり暮らしのサチさんが、体調不良を経て突然先立ちます。

飼い猫のみーちゃんを誰が引き取る?という話になっていました。サチさんの幼馴染でサチさんに淡い恋心を寄せていた巌さんはこう言います。

おれだって預かってやりたいけどな
残されたものはさびしいよ
でもそんな気分を味わうのは、猫だっておんなじだよ

猫を愛しているからこそ出てくる言葉ですよね。自分だってもう先は長くない。また猫につらい思いをさせてしまう可能性がある。だから、預かれない。

大切に思う存在だからこそ、ジレンマが生じます。

それに引き換え、みーちゃんはどうでしょう。サチさんと暮らしていた家の玄関に毎日訪れ、時間を過ごします。そのみーちゃんを、地域の人たちが見守り支えています。

サチさんもみーちゃんと一緒に過ごした時間はしあわせだったでしょうし、みーちゃんもまた同じなんですよね。

シーンは変わり、ひとり息子から「一緒に東京に住まないか」と提案されている大吉さん。悩みつつ、タマや他の猫たち、そして島の仲間と過ごす豊かな時間に思いを馳せます。ようやくひとつの答えを出します。

妻が残したレシピノートを完成させた大吉さん。それを息子に見せながら

わしも、タマも、ここがいい
(中略)
いちばん多いのは、ここの人たちに教わったレシピだ
みんなに聞いて、みんなに助けてもらって、できたんだ

自分のことを気にかけてくれていることに感謝を伝えつつ、島に残ってタマといっしょにのんびり生きる人生を選ぶことを告げます。

ますます課題が浮き彫りとなる高齢化社会。これが正解なのか不正解なのか、それは誰にもジャッジできません。

だけど、映画は軽やかにメッセージを届けてくれます。

心地いいコミュニティーと刺激しあえる仲間がいる。最期まで生き生きと自分らしく過ごせる場所を選ぶ。猫にとっても自分にとっても。

どこに住むことを決意しても、猫のようにウソをつかず素直にいられる場所で、大切な人と一緒に過ごしませんか?と、そっと背中を押してくれるのです。

まとめ

映画『ねことじいちゃん』は、猫の魅力を余すことなく堪能できます。

とにかく、猫(も人も)かわいい・・・の一言。 エンドロールには、大活躍の猫ちゃんたちのお名前がズラリ! 猫ちゃんたちへのリスペクトがすみずみにまで感じられます。

そして、岩合さんにしか撮れないであろう、猫たちの表情、動き、行動。 猫好きな方にぜひともおすすめしたい作品です。

また、猫をこれから飼おうと検討している方にとってはたくさんのヒントをもらえます。

猫といっしょに生きていく。その豊かさをぜひ感じ取ってくださいね!

※「にゃんこのおすすめ」カテゴリの記事は、エンタメ応援と小さな命と最後まで一緒に過ごしてほしい活動の元に作成しています。

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ロケ弁当「楽GOHAN」公式エンタメ応援キャラクター「にゃんこ」について

こちらは、出会えた猫ちゃんと最後まで過ごして欲しいという想いを込めた作成した、絵本の朗読動画です。
<にゃんこから10の手紙>

「にゃんこ」がミュージックビデオになりました!
<Answer〜ニャンダフルライフ>

※映画『世界から猫が消えたなら』。当たり前にあるものが、人生にとってかけがえのないものだと教えてくれる猫映画です。佐藤健さんと猫ちゃんの共演にもキュンとなりますよ。

猫好き必見。当たり前にあるしあわせを教えてくれる映画『世界から猫が消えたなら』【ネタバレ含む】

※2021年2月22日〜2月26日に実施した「#猫の日」企画。リツイート数×10円を、戸田市「とだニャン」様へ寄付させていただきました。拡散してくださった皆様、ありがとうございました!



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