なくてはならない名脇役!猫キャラクターが魅力的なスタジオジブリ作品4選

日本アニメーション映画界の主峰のひとつ、スタジオジブリ作品。『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』など数々の名作を世に送り届けてきました。

ジブリ作品の魅力のひとつに、個性豊かなキャラクターが挙げられますね。動物にフォーカスすると、気づくのが猫キャラクターの活躍。

なにげなく見ていたジブリ作品、猫にフォーカスするとまた違った楽しみ方ができるかもしれませんよ。

今回は、スタジオジブリ作品に登場する、愛すべき猫キャラクター達をご紹介します。

ねこバス 〜となりのトトロ(1988)〜

このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。
(※『となりのトトロ』キャッチコピー)

いつ見ても色褪せない普遍の名作『となりのトトロ』。母親の療養地にと都会から里山に引っ越してきた草壁家に起こる、ヘンテコないきものとの交流を描いたハートフルストーリー。

『となりのトトロ』に登場する猫キャラクターと言えば、「ねこバス」。トトロに並ぶ大人気キャラクター!一生に一度はねこバスに乗ってみたいと望むのは、全人類共通の夢です。

雨が降る暗い森の中を照らして猛ダッシュ!ギラギラ、ヘッドライトビームの主。「にゃお〜ん」と爆走する初登場シーンの第一印象は、「なんじゃ?このいきもの」とポカーン。サツキとメイと同じように口をあんぐりした人も多いのでは?

走るのが大好き。誰かを運ぶのも大好き。メイを探して疲れたサツキのために乗客に座席の高さを変えてふかふかに整えてくれるところなんて、なんてジェントルマンなんでしょう!

さらに特筆すべきポイントは、機転の良さ。サツキをメイのところに届けて無事大団円と思いきや、メイがいなくなったきっかけが「とうもろこしをおかあさんに届けたい」と知ったねこバスの粋な行動といったら!

バスの行き先が「めい」から「七国山病院」(院の字があえて逆さなのが良き)に変わった瞬間、おそらく観客席全員が心の中でスタンディングオベーションしたでしょう。

空気の読めるイケ猫、ねこバス。こどもだけで行くのが難しい目的地へ難なく連れて行くねこバス。ミッションを終えたらニカっと笑って、スーッと消える潔さ。

一見不気味だけれど、憎めない愛すべき猫キャラクターです。必要とするときだけ甘えてくる猫そのものですよね。

<作品情報>
原作・脚本・監督:宮崎駿
音楽:久石譲
主題歌:井上あずみ『さんぽ』『となりのトトロ』
声の出演:日高のり子、坂本千夏、糸井重里、島本須美、北林谷栄、高木均
配給:東宝
公開日:1988.4.16

ジジ 〜魔女の宅急便(1989)〜

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。
(※『魔女の宅急便』キャッチコピー)

不朽の名作『魔女の宅急便』。

13歳の小さな魔女のみずみずしい成長ストーリー。キキの視点で魔女修行を疑似体験できるのがこの映画の最大の魅力ですね。

さて、魔女の宅急便の猫キャラクターと言えば、黒猫ジジ。肩にのる“相棒感”がとてつもなくかわいらしい。みなさん一度は、猫のぬいぐるみを肩にのせて“魔女宅ごっこ”をしたこともあるのではないでしょうか?筆者はあります。

黒猫ジジの魅力は、常にキキの味方ということ。好奇心いっぱいのキキのそばにいて、つねに話し相手になり、いつも冷静に物事を見てキキを支えます。キキよりちょっぴり先に生まれていることもあり、先輩かぶれしている様子もまたかわいいです。

キキとジジは仲良しきょうだいのように、いつも一緒。トラブル続きの魔女の修行も一人と一匹、力を合わせて乗り越えてきました。

でもキキとジジには、魔女と猫それぞれの人生があって。キキは飛ぶことに情熱を注ぐトンボと出会い、青春や挫折を覚えていく。一方でジジはエレガントな白猫リリーと出会い、愛を育んでいく。

映画のクライマックス、キキの魔法の力が弱くなり「ニャー」としか聞こえなくなるジジの声。最大のパートナーのジジの力を頼らずに、一人で難局に立ち向かう必要性が出てきます。

キキが本当の自立の道を歩みはじめるきっかけになるんですよね。

ラスト、主体的に動いて難破した飛行船からトンボを救ったキキのもとに駆け寄ってきたジジ。話し声は相変わらず「ニャー」としか聞こえない。だけど、キキとジジの絆はまったく変わっていないことが伝わりましす。

キキとジジはセットでした。でもそれぞれの道を見つけたら、いつも一緒でいられなくなる。お互いの人生をリスペクトし、程よい距離感を保ったいちばんの理解者でいてくれるのだと、ジジは教えてくれました。猫、最高です。

<作品情報>
原作:角野栄子
プロデューサー・脚本・監督:宮崎駿
音楽:久石譲
音楽演出:高畑勲
主題歌:荒井由実『ルージュの伝言』『やさしさに包まれたなら』
声の出演:高山みなみ、佐久間レイ、山口勝平、加藤治子、戸田恵子
配給:東映
公開日:1989.7.29

バロン・ムタ 〜耳をすませば(1995)〜

好きな人が、できました。
(※『耳をすませば』キャッチコピー)

思春期真っ只中の中学生、月島雫と天沢聖司の甘酸っぱくみずみずしい青春成長ストーリー。
劇中で、雫のまわりをウロウロとうろつく太っちょ猫。読書が大好きな雫にとっては、妄想世界の登場人物のひとりに。「どこに行くの?猫くん」と話しかけるほどの感受性を発揮し、スタスタと小走りする後ろ姿を追いかけては、勝手に想像をふくらませて物語をつくります。

彼はどうやら街猫のようで、「ムタ」「ムーン」「お玉」「ルナ」など、いろいろな家庭を渡り歩いてごはんをもらってる様子。

ふてぶてしい表情の中にも愛嬌があって、どこにも留まらない自由奔放さが彼の魅力。

中でも、雫を聖司の祖父の営む雑貨店「地球屋」に導いた最大の功績に盛大な拍手を贈りたい。雫が、創作への理解者・西司郎氏や西の思い出の猫男爵の置物「バロン」に出会って、彼女の人生に大きな影響を与えたわけですから。

さらに、イタリアでバイオリン職人修行という進路を決めた聖司に追いつきたい、物語を書きたいという情熱だけで書きあげた、「バロン」を主人公にしたはじめての物語。設定も構成もなにもかもがボロボロで、自らの未熟さを自覚して大泣きする雫のそばに寄り添う生き物。それは他ならぬ「ムタ」でした。

いざというときには逃げるのに、弱りきっているときにそばにいてくれるのが猫。
なんでしょう、このツンデレ愛されキャラ。やっぱり、猫最高じゃないですか。

<作品情報>
原作:柊あおい
製作プロデューサー・脚本・絵コンテ:宮崎駿
監督:近藤喜文
プロデューサー:鈴木敏夫
音楽:野見祐二
主題歌:本名陽子『カントリーロード』
声の出演:本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋、露口茂、小林桂樹
配給:東宝
公開日:1995.7.15

バロン、ムタ 〜猫の恩返し(2002)〜

猫の国。それは自分の時間を
生きられないやつの行くところ。
猫になっても、いんじゃない?
(※『猫の恩返し』キャッチコピー)

『耳をすませば』から7年後に公開された、当時待望のジブリ新作『猫の恩返し』。『耳をすませば』のスピンオフ作品として、ジブリファンに愛されている映画です。

特筆すべきは、『猫の恩返し』が『耳をすませば』のヒロイン月島雫の書いた処女作に本人が手を加えて書き直した作品という設定だということ。ですので、猫男爵の「バロン」と太っちょ猫の「ムタ」が登場しています。前作のつながりを感じさせる演出が粋ですよね。

ということで、『猫の恩返し』は、猫がこれでもかとたくさん登場するストーリー。

雫のインスピレーションを通じて楽しむ、個性的な猫の世界。猫王子の「ルーン」、お城のお手伝い「ユキ」、猫王の側近「ナトル」、そしてそして最大の濃いキャラが「猫王」ですよ。

息子の命の恩人・ヒロインの吉岡ハルを息子の妃にしたいと、半ば強引に猫の国にもてなす猫王は、振り切ったヒール役。故・丹波哲郎さんによるイケボすぎる声が無駄にシブすぎる。かっこいい「バロン」男爵の存在が霞んでしまうほどの、インパクトある猫様です。

ところで、作中で気になったセリフがあったのですがこちら。

「猫の国では自分の時間を生きられない。行っても自分を見失わないように」

猫の国に連れていかれたハルを観察していると、「猫になってもいいんじゃない?」と少しでも思ってしまうと、猫の姿になってしまうようなのです。

誰かの好意で差し出された環境。無理矢理おしつけられても必ずしもうれしいものでなかったりします。

バロンとムタは、猫の国の住人ではありません。おそらく人間と猫の世界の境界にある世界線で生きているのではないのかな?と推測します。

自分を見失わずに生きているバロンとムタの、勇ましい活躍。ハルもその姿に大いに影響を受け、ラストは寝坊をしないなど主体的な暮らしを送れるようになっていました。

『耳にすませば』の月島雫が、男爵猫「バロン」や野良猫「ムタ」から着想を得て、書き上げた「自分を見失わずに生きることの大切さ」。成長した雫の、さわやかで力強いメッセージが秘められています。

<作品情報>
企画:宮崎駿
原作:柊あおい
脚本:吉田玲子
監督:森田宏幸
製作プロデューサー:鈴木敏夫
音楽:野見祐二
主題歌:つじあやの『風になる』
声の出演:池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、佐戸井けん太、濱田マリ、渡辺哲、斉藤洋介、岡江久美子、丹波哲郎
配給:東宝
公開日:2002.7.20

まとめ

時間が経過してもまったく色褪せないスタジオジブリ作品。今回は猫キャラクターにフォーカスして作品をご紹介しました。

特定キャラクターの視点で物語を追うと、新たな発見ができてさらにワクワク。

それぞれのキャラクターの魅力を深堀りしてみてくださいね!

※本記事におけるすべての画像は、スタジオジブリ公式ホームページより引用しました。

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<Answer〜ニャンダフルライフ>

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