【トルコ映画『猫が教えてくれたこと』】イスタンブールの7匹の猫と人との交流に心温まるドキュメンタリー映画

こんにちは! モリスギ!編集部のナナです。

5月2記事目の【にゃんこのおすすめ】です。

今回も海外の映画から『猫が教えてくれたこと』。世界で最も猫にやさしい国と名高いトルコの映画です。

街に住み着く7匹の猫と、猫たちをそっと見守る人々の様子をカメラが追った、ドキュメンタリー映画です。

にゃんこ
にゃんこ
主役は7匹の野良猫ちゃんたち!?遊びたーい!でも猫パンチされるかも〜
どっぷり家猫ちゃんになったにゃんこも、かつてはこんな猫ちゃんたちだったの?
編集部ナナ
編集部ナナ

劇中に登場する7匹の猫たちが、とにかく個性豊かで、見ていて飽きません。同時に自由に暮らしている猫たちはなぜこんなにのびのびと暮らせるのだろうと、日本とのギャップを不思議に感じてしまう程でした。

猫にとって天国とも言えるトルコ・イスタンブール。猫たちの魅力や町ぐるみで動物を大切にする精神性について深堀りしつつ、映画を紹介していきますね!

映画『猫が教えてくれたこと』はどんな作品?

『猫が教えてくれたこと』(原題:Kedi。トルコ語で「猫」という意味)は、2016年公開のトルコのドキュメンタリー映画です。

登場人物は、7匹の野良猫とこの猫たちの周りにいる人々です。

猫の毎日の暮らしぶりにフォーカスし、地上10cmの猫目線のカメラワークで猫の見ている世界を疑似体験できます。そして、猫の周りにいる人達にインタビューし彼らの“猫観”に触れることで、イスタンブールがなぜ猫にやさしい国なのか、垣間見るきっかけになります。

イスタンブールの猫と人の交流には、今を生きる人たちがしあわせに生きるヒントがたくさん詰まっています。

2017年、世界的な猫ブームの到来。その流れもあり、本作はアメリカのニュース情報誌「TIME」の2017年公開のおすすめ映画トップ10のひとつに選出されています。

子猫にエサをあげるために市場の食べ物を狙う「サリ」、なでられるのが大好きな「ベンギュ」、レストラン近くに住みネズミ退治を仕事にしている「アスラン」、旦那を尻にしいているくせに嫉妬深い「サイコパス」、下町のいち場で商売人や客たちと触れ合う「デニス」、遊び人風で人間の心を虜にする「ガムシズ」、グルメで礼儀正しい「デュマン」。7匹の個性豊かな猫を軸に人々と猫の幸せな関係をとらえた物語。(C) 2016 Nine Cats LLC

※文章引用:Amazon prime video 映画『猫が教えてくれたこと(字幕版)』より

まずは予告編をどうぞ。

したたかに生きる力みなぎる、個性豊かな猫たちが勢ぞろい

たくましく生きる猫たちを、まずはズラリとご紹介しました。

共通していることは、すべての猫が自由にのんびりと街の片隅で暮らしていることです。

猫たちは必要なときに人間に頼ります。行きていくにはまず食べ物が必要。人間が食べ物を与えてくれますが、猫たちは一方的に恩恵を受けてばかりではありません。食べ物を与えてくれる人間に対し、礼儀も忘れないのです。

例えば、妊娠を経て出産すれば産まれた子猫を連れて、店主に挨拶にきます。また、エサのお返しにとネズミ退治だってします。自然と感謝の気持ちを行動で示すことができているのですよね。驚きの交流です。

一方で人間もまた、猫たちの世話をし撫でることで、その愛らしさに癒やされます。

とはいえ、猫だってもちろん人を選びます。相性のいい“この人”に可愛がられたいと思ったら、徹底的に距離を縮めようと計画的に近寄ってきます。ダメならあきらめます。この潔さが猫の良さです。

どちらにしても、世話をしてもらったしてやったとなんていう構図は、イスタンブールにはほぼ存在しないのです。

お互いに「自分のために」施していることなんですね。この絶妙な距離感が、映画を見ていてとても心地よいです。猫と人とが心を許し合ってとろ〜んとしている表情には思わず目を細めてしまいます。

日常に転がっているコミュニケーションのひとつとして、とても美しいなと感じるのです。

イスタンブールの歴史と宗教観が、猫との暮らしの基盤になっている

それにしても、疑問です。

なぜイスタンブールには、野良猫がこんなに住んでいるのでしょう。そして、こんなにも街の人たちに愛され、暮らしにとけ込んでいるのでしょうか。

それは、イスタンブールの歴史と宗教観にあります。

トルコはヨーロッパ大陸とアジア大陸に挟まれた中間地であり、中でもイスタンブールは港町と盛え、諸外国の文化の入り口でした。オスマン帝国の時代、世界中から貨物船で物資が運ばれてきて、船の中にはネズミ退治のために猫も乗せられていました。

イスタンブールに船が到着すると、積荷と一緒に猫も降り立ちました。そして丘の上まで登ってそのまま住み着くなんてことがよくあったとのことで、全世界からさまざまな猫が集まる地域になったのだそうです。

また、トルコの人々が信仰するのはイスラム教。イスラム教の教祖ムハンマドが猫を大変大事にしていたということから、イスラム教徒にとって猫を大事にするのは当たり前なんです。

映画には、こんな張り紙を紹介していました。

猫と犬 専用の飲み水
来世で飲み水に苦労したくなければ
決してこの水に触れるな

イスタンブールにもいろいろな人がいるとわかるメッセージです。

でも街ぐるみで、動物を愛でる姿勢がよく伝わってきます。

ドラム缶などに備えられた専用の水のまわりで、のんびりと休む猫や犬たちを見ると、本当に幸せそうだなと、見ている側もホッとします。

野良猫に対して、暮らしの中でどんな教えを受けてどう育ってきたかで、接し方が変わってしまうのかなと感じました。

イスタンブールの人たちは声をそろえてこう言います。

家で飼うと、猫らしさを失ってしまう

動物そのものとしての尊厳を忘れない、素晴らしい考え方ですよね。街に猫がのびのびと過ごしているのは、豊かさの象徴でもあるのです。

高層化して変わっていく街。それでも猫は変わらない。

猫と豊かな関係性を築いてきたイスタンブールの人たち。

しかし、街は都会化がすすみ、古くからの市場が取り壊されるといった問題も抱えています。

「土がコンクリートに埋もれてしまい、食べ物を与えてとお願いできなくなったら、猫たちはどうなってしまうのだろう。」 猫たちを心配する声は尽きません。

それは、家族同然としてのつながりを持って暮らしてきたからに他ありません。

街の動物に関する問題は人間の問題と結びついていて
別々に解決はできない
それぞれが直面している問題はどこかでつながっていると思う
猫をただの邪魔者として駆除するのは簡単なことよ
でも以前のような共存の道を模索することで
人間が抱えている問題の解決策を見いだせるかも
むしろ私達が失いつつあるユーモアの感覚や
人生に対する喜びを取り戻せる気がする

人間にとって便利で都合のいい社会をつくっていくことは、とても簡単です。

しかし、猫や犬のように人間とはライフスタイルが違う動物が住む場所でもあるのです。当たり前に生きる場所を奪っていいだなんて、そんな傲慢は通じません。

かつて動物と一緒に生きてきた人間は、いつからそんなに自分勝手な生き物に成り上がってしまったのか。人間の利益のみしか考えない人は、ユーモアを失い幸せの価値観がズレていってしまいます。

突発的に対処できる動物の勘のようなもの。それはユーモアそのものです。猫をはじめとする動物と日常的に接していると、慈悲の心とともに人生の豊かさについて想いを馳せるきっかけをいつだって思い出させてくれます。

映画の最後は、こんな言葉で締めくくられます。

猫が足元に来て話しかけてくれたら
人生は喜びにあふれる
猫たちは生きる実感を与え
僕たちを幸せにしてくれる

自由奔放な猫。でも人を選び、一定の距離を保って交流を重ねます。そして満たされたらどこかへ消えていきます。

そんな何者にも従わない一本芯の通った生き物がそばにいるだけで、人間が教わることはたくさんありそうですね。

映画『猫が教えてくれたこと』まとめ

イスタンブールは、野良猫にとってオアシスでしたね。鑑賞している人たちはほぼ癒やされることでしょう!多くの方がこんな世界が増えたらいいなと願ったのではないしょうか。

ではそのオアシスをつくるには、どうすればいいのでしょう?

そのヒントは、イスタンブールの歴史と宗教観からくる人々の心持ちにありましたね。

人間だけの利益に心が走ってしまうと、たちまちに猫のオアシスは消えてしまうでしょう。

映画『猫が教えてくれたこと』は、猫と人の交流を通じて、動物との共存のあり方を教えてくれます。

すべての個性豊かな猫たちが、イスタンブールの猫のようにしあわせに暮らしていけますように。

これから猫を家族に迎え入れる予定のある人は、ぜひとも参考にしてもらえればと思います。

イスタンブールの美しい街並みを旅行している気分とともに、とてもしあわせな気持ちをプレゼントしてくれる映画です。ぜひご覧くださいね!

にゃんこ
にゃんこ
90分大満足のもふもふタイムにゃ!

※映画『猫が教えてくれたこと』公式サイト

※動画配信サイト
AmazonPrimeVideo、You Tube、Google Play 他

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