一汁一菜のすすめにより、“トースト味噌汁”をつくってみた
こんにちは。モリスギ!編集部、ナナです。
デカ盛り定食、デカ盛りどんぶり。どちらにも必ずついてくる一品と言えば、何を思い浮かべますか?
はい、味噌汁です。日本人の代表的なソウルフードとして、和食に欠かせない存在。昭和の時代は、家によってだしも具材も違い、おふくろの味として不動の地位を確立していました。
そんな味噌汁にちょっとした革命が起きてるんです。 仕掛け人は、著書「一汁一菜でよいという提案」がヒットした料理研究家の土井善晴先生。食卓にどんなイノベーションを起こしたのでしょうか。
そもそも味噌汁っていつからあるの?
味噌汁は、いつから日本のソウルフードとして君臨しているのでしょうか。
味噌と言えば、丸坊主マルコメくんでおなじみの(情報が古いですね・・・)マルコメ株式会社。創業1854年と江戸時代から続く歴史ある味噌製造会社のwebサイトで、味噌汁の歴史について調べてみました。
「味噌」という表記が初めて文献で記されていたのが、平安時代。当時の味噌のポジションは、高級官僚が贈答品として使うようなレベルでした。庶民の目にまったく触れることのない高級品だったんですね。意外な事実です。
味噌汁が出てくるのは、もう少しあとの鎌倉時代。蒸した大豆そのものと塩を発酵させた“粒みそ”をすりつぶすようになりました。すりつぶした粒みそを水に溶くようになり、味噌汁として利用されるようになります。鎌倉武士の食事の基本が、玄米と味噌汁の「一汁一菜」スタイルに。これが現在に続く食の基本になっています。
味噌が庶民に伝わったのは、さらにあとの室町時代。幕府のすすめで大豆を大量栽培するようになり、自然と庶民も自家製味噌を仕込む流れになりました。庶民に味噌が広まり、田楽などさまざまな味噌料理が確立されました。
現在でも、食卓にはなくてはならない存在になっていますね。
「一汁一菜」のすすめ
和食の基本は「一汁三菜」。食事はもともと、ひとりひとりに独立したお膳にのせてふるまわれるのが基本形態でした。
お膳に並ぶ、ごはん、汁物、主菜(メイン)1品、副菜2品。
炭水化物がごはん、箸休め的な存在が汁物、体の筋肉や血をつくるのが主菜、ミネラルや食物繊維をとるのが副菜、という位置づけです。バランスよくいろいろな食材を食べられるのが一汁三菜の最大のメリットですね。
多世代が一緒に住んでいた昭和のバブル期以前では、ゆったりした一汁三菜スタイルが食卓でふるまわれるのがデフォルトでした。しかし、女性の社会進出が当たり前になった平和の時代から核家族化がすすみ、女性の家事育児の負担が増えていきます。
2016年10月、1冊の本が出版されました。その名も「一汁一菜でよいという提案」。著者は家庭料理研究家の土井善晴先生で、一躍主婦のヒーロー的存在になり、10万部の大ヒットを記録しました。
この本は、お料理をつくるのがたいへんと感じる人に読んでほしいのです。
※引用:「一汁一菜でよいという提案」
冒頭からやさしい一文です。毎日のごはん作りが大変、どうしよう・・・やめてしまいたいと悩む、働く母たちに寄り添ってくれています。タイトルで「ごはんと、具だくさん味噌汁だけでいいよ」と励まし、本文でとことん「おかあさんたち、じゅうぶんがんばってるよ」と背中を押してくれます。
具だくさん味噌汁はおかずとしてしっかりと成り立つと証明してくれたことは、忙しい主婦の気持ちをほどいてくれました。
“トースト味噌汁”との衝撃の出会い
土井先生の「一汁一菜でよいという提案」を読んでからというもの、食卓に具だくさん味噌汁の登場回数は増えました。
いつしかTwitterで精力的に発信する土井先生の投稿を見るようになったのですが、私にとって一大事件がおきました。ある日、衝撃の写真が投下されていたんです。
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今朝のおみそしる
あげたまこいれた pic.twitter.com/sjcDH2PnfJ
— 土井善晴 (@doiyoshiharu) November 13, 2019
え?味噌汁にトーストされたパンがぶっささってる!?何かの間違いでは?
和洋ごちゃまぜの斬新なアレンジ味噌汁に、誰もが目を疑いました。
「大きなクルトンですね!」とリプライを飛ばしている人もおり、私の凝り固まった先入観が一瞬で吹き飛びました。
トーストした食パンの味噌汁。カリッと焼いたパンがお麩にかわる新食感。味噌とバターがぴたりと合う。パンは食パンでもバゲットでも。野菜もくわえて一汁一菜。胃の腑も好奇心も満たしてください。⇒https://t.co/xroMMU7egD pic.twitter.com/ZgFsNDHa5J
— 土井善晴の和食アプリ (@Doi_Washoku) March 19, 2017
トーストしたパンがお麩に変わる新食感。味噌とバターがぴたりと合う。パワーワードばかりが並んでいて、どんな味なのか気になって仕方がありません。作ってみようとは思うものの、味噌汁をつくったときに、食パンをトーストするという流れに全くならず、試すことはありませんでした。
“トースト味噌汁”を家族に出してみた
モリスギ!編集部で“美味しいコラム”を書くこととなり、なぜかこのトースト味噌汁が思い浮かんだんですよ・・・。このタイミングで作らねばいつ作る?
ということで、トースト味噌汁を作って家族に出してみました。食べてくれたのは小学4年生の娘です。
ナナ:じゃん!どう?今日はスペシャル味噌汁だよ!
娘:・・・・・・・・・(苦笑いを浮かべている)
ナナ:ほらほら、食べてみて!
娘:(しぶしぶ食べる)熱い!パンが熱くて食べられない!
ふーふー、(パクっ)、ああ・・・味噌汁の味。ふつー。
定番大好きな我が家の小学生ウケはあまりよろしくなかったです。しかし!バターを入れてみたいとのリクエストをもらいました!すごい、自らバターが欲しいと言うとは。少しは興味を持ってもらってる?
娘:・・・!!! バターを入れたほうが断然おいしい! スープみたい!
娘、大絶賛! 味噌バターは不動の人気です。
私もパクっといただいてみると、土井先生のおっしゃる表現がぴったり! 食感が完全にお麩です、お麩。パンがお麩に変わりました。意外とイケます。
やってみないとわからないものです。そして、落とし卵は絶対に半熟にするべき。とろ~り食感はやはり大事ですね。
はじめてのトースト味噌汁。出だしの反応はイマイチだったものの、バターを入れると意外においしいということで我が家は落ち着きました。
さて、次に食卓にのぼる日はいつでしょうか・・・。
まとめ
デカ盛り定食に必ずついてくる癒やし系存在の、味噌汁。まさかメインになったりトーストが刺さる日がくるとは思いもしませんでした。味噌汁は、アレンジ自在な料理のひとつなんですね。
家庭料理研究家、土井善晴先生考案「トースト味噌汁」。コーンスープに入っているクルトンのような感覚で食べるととてもおいしいですよ。
みなさんもぜひトライしてみてくださいね! 味噌汁を楽しみましょう!
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