【感想】大人気漫画「極主夫道」の魅力を全力レビュー。元最凶ヤクザから学ぶ料理の極意とは?
こんにちは!モリスギ!編集部のナナです。
7月8日にドラマ化決定が発表された、人気漫画「極主夫道」。2020年10月スタート予定、主演は玉木宏さんです。
速報⚡#極主夫道ドラマ化
2020年10月スタート新日曜ドラマ
『#極主夫道』専業主夫になった伝説の極道🕶️
主演 #玉木宏日曜の夜、おたくのテレビに
殴り込み(カチコミ)ます👊
伝説の極道がエプロンに着替え、
専業主夫に命をかける🔥
仁義なきヒューマン任侠コメディ! pic.twitter.com/Q6KBC6TZWA— ドラマ『極主夫道』【公式】 (@gokushufu_drama) July 7, 2020
大人気の秘密は、現在発行されている全5巻の表紙を見れば一目瞭然。元最凶ヤクザの主人公「龍(たつ)」が、まじめに家事にいそしんでいる姿を見るだけで笑いがこみあげてきます。
特に注目すべきは第4巻で、かわいいキャラ弁を手にした任侠さんの物憂げな顔立ち・・・。女子力の高い任侠さんに、思わず吹き出してしまいました!
表紙をめくると、一瞬「龍」の言動に恐れおののきますが、いつのまにかユーモアと愛に満ちたやさしい世界観にひたっています。口コミの「中毒性が高い」に大いに納得、多くの人におすすめしたくなる良作です。
今回は、そんな大人気漫画「極主夫道」を全力レビュー!魅力をご紹介します。多少のネタバレを含んでしまいますが、ご容赦ください。それではいきましょう!
お品書き(目次)
漫画「極主夫道」とは?
元最凶ヤクザの「不死身の龍(たつ)」が主夫を極めていく日常を描いた、任侠ハートフルコメディ漫画です。原作者は、おおのこうすけ氏。
WEBコミックサイト「くらげバンチ」(新潮社)で2018年2月に短期連載を経て、同年5月から本連載スタート。以来、コミカルな任侠もので話題沸騰!すでに5巻まで出版されており、累計200万部を突破、2020年10月スタート、同タイトルでのドラマ化が決定しています。
先ほど発表があり、極主夫道がマンガ界のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞(最優秀ユーモア賞)を受賞しました。ありがとうございます!
海外の方にも読んでもらえてるんだと思うと嬉しいです。#EisnerAwards#ComicCon#極主夫道 pic.twitter.com/IE8Ebjpaxa— おおのこうすけ@極主夫道⑤発売中 (@kousuke_oono) July 25, 2020
加えて2020年7月25日、漫画界のアカデミー賞と言われる「アイズナー賞」を受賞しました!「最優秀ユーモア出版物」部門で、世界最高の評価を獲得。同部門の日本人受賞は22年ぶりだとか。
日本を越えて世界も認めるユーモアあふれる作品ということが証明されました!おめでとうございます!
さて、この話題沸騰の作品の見どころは、元ヤクザという最凶の見た目なのに、専業主夫の役割をしっかりと担う龍の一挙手一投足です。
ところどころで裏社会でつながっていたヤクザたちが登場し、ハラハラさせられます。しかし、龍は元ヤクザとして立ち向かうのではなく、主夫道に沿った言動でピンチを切り抜けます。そのため、周囲はキョトーンとなります。
また、日常のひとこまでは、龍の過去と切り離せないシーンが多々あります。そのため各場面で絡み合う人たちの「ヤクザなの?主夫なの?どっちなの?」感からくる、独特の間がおかしくておかしくてたまりません。
でも、どんなときも龍は真面目。愛の人です。一途でまっすぐな姿に、読者は思わず「がんばれ」と静かに応援してしまいます。たまらず笑っちゃうんですが。
裏社会から足を洗って主夫道にいそしむ龍の姿は、家事を担う主婦からは笑いとともに大きな共感を得ます。また、新しい環境でチャレンジするすべての人からは、異分野で一生懸命挑戦して道を極めていく龍の姿に自分を重ね、大笑いしながらも励まされるのかもしれません。
このユニークさあふれる世界を、ドラマ制作陣や玉木宏さんがどうリアルに作り込んでいくのか、テレビ版がとても楽しみですね!漫画の連載はまだまだ続きますよ。
最凶ヤクザと主夫のギャップに、中毒性あり
「極主夫道」は、序盤から読者の脳裏にショッキングな第一印象をカチ込んできます。
肩から背中一面に彫られた大きな龍。黒いシャツとスーツを着、ドス(!)を腰にたずさえます。ヘアスタイルはふわっと固めたオールバックにセットし、サングラスを装着。ああ、こわい。これから何が起きるの?と、ドキドキそわそわ。
柴犬アップリケがついたエプロンをつけて、極主夫道ファッションの最終形態が完成。龍の主夫としての1日がはじまります。
この出で立ちだけで、クスクスと笑いがこみあげてきます。
女子力が高い
「コトコトコト」「スッ」「カサッ」。
無言で調理する姿と、龍の手際の良さがよくわかる擬音。かわいくキャラ弁が出来上がったら調理終了ではありません。キャラ弁は、、SNS投稿用に撮影するのです・・・! 映えを狙いあることをするのですが、その姿がコミカルで愛らしいです。
冒頭の龍の主夫力と女子力に一瞬にして釘付け、なぜこんなに惹きつけられるのでしょうか?
ブレない“主夫”の流儀
漫画では、龍の“最凶ヤクザ”だったという印象を、表情や仕草で表現します。物心ついたときからずっと裏社会で生きてきた龍の、普通の表情なのでしょう。本人にとっては何らおかしいと思うことはないようです。
それゆえ、龍の恐いビジュアルで包丁を持たせれば「襲撃されるかも」と思ってしまうし、スーツの内ポケットに手を入れられると「武器を出されるかも」と思わず身構えてしまいます。
かつては名の知れたヤクザだったので、警察からとめられ職務質問を受けることも多々ありますし、現役ヤクザに絡まれることもたくさんあります。
しかしながら、龍はどんなときも主夫道ひとすじ。包丁を見れば「切れ味はどうだ?」ととことん試したくなるし、スーツの内ポケットにはいつ何時も買い物に行けるようにお得なチケットを忍ばせています。
緊迫したシーンのあとは、必ず主夫道を極めた家事アイテムが次から次へと出てくるため、意外性の連続に飽きることがありません。登場人物も、基本はいいひとしか出てきません。ビジュアルは恐いけれどチャーミングな人たちの日常をもっと見たくて、次から次へと読み進めたくなってしまうのです。
テーマは「愛」
一晩に単身丸腰で10組をつぶしたと言われる、伝説の最凶ヤクザ「不死身の龍」。
なぜ最凶ヤクザを辞めてカタギの世界で過ごすようになったのか、奥様の美久(みく)とどんな経緯で夫婦になったのか、そのあたりは謎のベールに包まれています。(連載が進むにつれ、明らかになるかもしれません)
家族愛
しかし、龍も美久も、お互いを思い合う理想的な夫婦です。龍は、嫁の美久のためなら命がけ。第1巻にこんなセリフがあります。
「俺は俺のやり方で家族(シマ)を守っとる。暴力では大切なもんは守られへん」
組在籍時は、組長のために命がけで行動していた龍。裏社会から足を洗うと決意し、カタギの世界に入ります。命をかけて守るべき存在は、結婚してパートナーになった美久に変わりました。
家事をやらせると頼りないけれど仕事に出て生活費を稼ぐ「嫁」のため、龍なりにできることをやっていったらいつのまにか主夫になっていたのでしょう。
ヤクザから主夫へ。龍は、暖簾は変わっても生きざまはまったく変わりません。そのまっすぐな姿に、読者は「深い愛」を感じてしまうのですね。
(・・・と言いながら、筋の通らない言動をされると思いっきりヤクザ癖が戻ってしまう龍。そんな完璧でないところも人間くさくてツッコミどころがあって、とても魅力的です。)
近所づきあいを大切にする
また、龍はご近所付き合いも大切にし“ひょうきんもの”と評判、婦人会の集いには積極的に参加し、奥様方の評判も上々です。
見た目とは裏腹に信頼が厚く、近所の子どもを預かって一緒に遊んだりします。人数が少ないからとママさんバレーにも誘われますし、婦人会の寄り合いに参加するときは失礼のないように礼儀を忘れません。
周りの人たちは最凶なビジュアルに一瞬たじろぎますが、龍のユニークさと誠実さにいつのまにか引き込まれています。
ヤクザな見た目で日常に溶け込んでいるだけで最高に不自然なのに、なぜかあたたかい気持ちになってしまうんですね。龍の人柄に嫉妬を覚えるレベルです。
龍にならう、料理の極意
突然ですが、私たちはお弁当屋をやっています。お客様に喜んでいただけるよう、心をこめて毎日お弁当をつくっています。だからこそ、龍の料理に対する極意には、笑いながらも共感もしますし、プロとして大いにうならされています。
「俺のシノギは まず お弁当づくりからや!」
極道と主夫の道は表裏一体かもと気づいた、舎弟のマサにかける言葉です。
朝の身支度を済ませたら、まず嫁のためのお弁当づくり。稼ぎ頭の美久に余計な昼食代を払わせてはいけない、また、見た目で楽しんでもらい午後からの仕事をがんばってほしいとの思いを込めての、キャラ弁です。(いや、本人が楽しくてハマっているだけかもしれませんが)
“シノギ”の恐い言葉の響きとは正反対の、愛がいっぱい込められたフレーズですね。
料理は、おもてなしの心
(※龍をマネして、やってみました。ケチャップからしたたり落ちる赤色が・・・)
龍の料理シーンは、随所に登場します。
訪ねてきたセールスマンだったり、遊びにきた子どもだったり、仕事で疲れが抜けない美久のためだったり。心をこめて振る舞います。
腕をあげるために、料理教室にも通います。先生や主婦の先輩たちからレクチャーやアドバイスを素直に受け、めきめき上達します。
現役主婦の私ですら知らない知識を盛り込んで、料理に活かしていきます。アイデアグッズだって活用します。
龍はいつも、食べてくれる人の顔を思い浮かべながら、全力投球で作っているんだろうなと思うものばかりです。
だしは命
龍の料理にとって、だしは命です。
料理下手な美久と義父が、料理をふるまってくれるときに「だしだけは死守せなあかん・・・!」と命がけで守りました。(このシーンは描写がおもしろすぎてふるえます)
味のベースを支えるものこそ一番こだわらなければという、龍の極主夫道にはただただ脱帽です。
まとめ
世界も絶賛する漫画「極主夫道」。
ビジュアルが任侠ものとアレルギー反応を起こしてはいけません。とにかくおもしろいです。主婦が見ても、独身の人が見ても、子どもが見てもハマります。笑いをこらえるのが大変なので、電車で見るのはちょっと辞めたほうがいいかと個人的に思います。
登場人物にいいひとしか出てこないのが最高です。とてもあたたかい気持ちになれます。龍のように、全力でがんばってみようと思えます。
2020年10月にドラマ化も決定している「極主夫道」。紙版でも電子版でも読めるのでぜひ読んでみてくださいね!
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