【取材記事】伝説の映画『カメラを止めるな!』を陰で支えた!?川口市「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」の隠れた活躍!

こんにちは、戸田市から埼玉を、埼玉から日本を元気にしたいモリスギ!です!

突然ですが、映画『カメラを止めるな!』(2018年公開)をご覧になったことありますか?
2館上映から始まって、SNSで口コミが爆発し、フランスでは『Final Cut』というインターナショナルタイトルでリメイクもされることが決まった伝説のスーパーヒット映画です。

実は、映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督は、今回の取材記事第二回目でご紹介する「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」によるインキュベート事業と関わりの深い監督なのです。

今回の取材ではその話もうかがいながら、川口市にある「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」の魅力に迫っていきたいと思います。

「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」の魅力をご紹介するにあたり、広報ご担当の千賀(せんが)さんにお話をうかがいました!

「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」とは、どんな施設?

SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
【場所】〒333-0844 埼玉県川口市上青木3-12-63
【TEL】048-265-2500(代表)
【公式Webサイト】http://www.skipcity.jp/

ロケ実績
テレビドラマ『『バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間』(2021年)
(※第1話〜10話での録音スタジオシーン)
映画『事故物件 恐い間取り』(2020年)
(※映画内の番組「探偵ナイトスクープ」のスタジオシーン等)
テレビドラマ ガールズ&戦士シリーズ(2017年〜)
映画『カメラを止めるな!』(2018年)
(※廃屋シーン以外のテレビスタジオシーン等)
他多数

 

――改めて、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」とはどんな施設ですか?


(※「彩の国ビジュアルプラザ」入口)

千賀さん:
まず「SKIPシティ」は埼玉県が中心となって推進している複合施設です。同じ敷地内に川口市が運営する「川口市立科学館」や埼玉県が運営する「彩の国くらしプラザ」など一般の方向けの施設や、「埼玉県産業技術総合センター」など産業向けの施設が入っています。

同じように「彩の国ビジュアルプラザ」も「SKIPシティ」の中に入っているという形です。加えて、当施設内にある「映像公開ライブラリー」は「NHKアーカイブス」との共同運営となっています。

私たちは「株式会社デジタルSKIPステーション」という会社で、埼玉県から委託を受けて映像ミュージアムや映像公開ライブラリーを含む「彩の国ビジュアルプラザ」を運営しています(2021年5月現在)。


(※「映像ミュージアム」の様子)

 

――「彩の国ビジュアルプラザ」全体のロケ実績をいくつか教えてください。


(※北側入口前の階段は、映画『カメラを止めるな!』(2018年)やテレビドラマ『アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜』(2021年)他、多くの作品のロケ地として使われています)

千賀さん:
テレビドラマ『バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間』(2021年)
や、映画『カメラを止めるな!』(2018年)、映画『事故物件 恐い間取り』(2020年)などがあります。スタジオや編集室があり、プロ向けの制作室で撮影されることが多いです。

「映像ホール」を映画館という設定で使われることもあります。「映像ホール」は申請をしてくださればどなたでも借りられます。研修や発表会でお使いになる方もおられるんですよ。また「ウィークエンドシアター」として、近隣の方が気軽に楽しめる話題の映像作品を上映しています。


(※映像ホール)

※映像ホールの貸し出しについて
http://www.skipcity.jp/facilities/hall/

千賀さん:
実は、SKIPシティでは毎年「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」という映画祭も開催されていて、2021年で18回目を迎えます。ウィークエンドシアターでは、この映画祭出身の監督作品の上映もしているんですよ。映像ホールは新型コロナウィルス感染症の影響でしばらく休館していましたが、2021年5月現在は開館しています。


(※「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」の様子。左から2番目が、映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督)

千賀さん:
また、映像公開ライブラリーは埼玉県の関連映像を所蔵しており、定期的に上映会も開催しています。専門家を招いてトークショーをしたり内容はバラエティ豊かに企画していて、大河ドラマで話題の渋沢栄一の関連上映会なども実施しています。

 

――「SKIPシティ」にはどんな方が来られますか?

千賀さん:
まず、社会科見学で来られるお子さんが多いです。埼玉県内の小学校は、コロナ前には年間300校以上は来られていました。川口市近辺にお住まいのお子さんなら、一度は来館したことがある施設だと考えていいのではないでしょうか。

また、川口市内の小学校では2003年より「映像学習プログラム」を取り入れています。小学校5年生を対象にした、映像制作を体験するプログラムで、当施設より小学校に講師を派遣しているんです。制作の最後のほうでは、映像ミュージアムのスタジオで番組の仕上げも行う本格的なものなんですよ。


(※映像ミュージアムで、アナウンサー体験。実施予定については公式ホームページを参照ください)

その関連もあり、SKIPシティに来られる方は映像に興味がある方が多いのかなと思います。

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」も今年度で18回目。なんと1年目からずっと来ておられる方もいらっしゃるんですよ。世界各国の若手監督の作品を上映しているので、毎年鑑賞する人にも新鮮に感じていただけているのでは?と思っています。

 

若手映像クリエイター支援事業の詳しい内容とは?


(※映像制作者向け施設のひとつ「HDスタジオ」。本格的な撮影機材が使用できます)

――映像や映画祭といえば、若手映像クリエイターの支援事業もされていますよね?

千賀さん:
はい。埼玉県の事業として、上映や制作の支援も行っています。スタジオや撮影機器のレンタルを中心にインキュベート事業(※)を展開しています。

※編集部注:インキュベートとは、孵化器のこと。卵を温めて孵化させるように、事業の卵からヒナが生まれるようサポートすること

映画は、作っても観てもらえないことが多いんです。観てもらってはじめて映画に価値が宿るものなので、上映は非常に大切です。そして上映実績は、海外に作品をPRする際にも実績としてあるとないとでは全然違うんです。一昨年はイオンシネマやWOWOW等と協働で上映支援を行うプロジェクトも実施しました。

施設内には借りられるオフィスもあります。映像関連の制作者やベンチャー企業に向けたオフィスです。オフィスを借りている人は、スタジオや機器も埼玉県民料金(※一般価格の50%)で利用していただけます。また、埼玉県をPRする短編映像コンペなども開催しています。


(※映像制作者向け施設のひとつ「マルチチャンネルMA室」。音の仕上げやアフレコに使用します)

――映像制作者とは、映画だけですか? YouTuberとして法人化した人なども対象ですか?

千賀さん:できる限り広く対象を取りたいと考えているので、映画制作会社・キャスティング会社・建物のCGモデリング会社など、とにかく少しでも映像にまつわる仕事をされているクリエイターや会社に入っていただいています。YouTuberとして法人化した方も対象になります(入居には審査がございます)。

 

「SKIPシティ」がロケ地になっている伝説の映画『カメラを止めるな!』の上田監督は、SKIPシティで発掘された!?


(※2018年にSKIPシティで開催し大好評だった、映画『カメラを止めるな!』のロケ地巡りイベントのチラシ)

――話は少し戻りますが、映画『カメラを止めるな!』は大ヒットしました。SKIPシティさんのご尽力があったとは!詳しくおうかがいしたいです

千賀さん:
映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督は、かつてインキュベートオフィスの入居者でした。
2012年にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で短編がノミネートされたことをきっかけに、当館で製作した『4/猫 ねこぶんのよん』(2015年)というオムニバス映画の一編で商業デビューを果たしています。『カメラを止めるな!』でも、ロケーション撮影の協力とMA(音の仕上げ)を当館で行わせていただきました。映画の大ヒットもあり、インキュベート事業のモデルケースとして理想的な支援ができたのでは?と思っています。

映画『カメラを止めるな!』は最初、2館上映だったのですが口コミで広がり徐々に上映館を増やしていきました。中でも制作費が安かったことは有名ですよね。映画の中でも主要シーンである廃墟は、茨城県水戸市の旧芦山浄水場ですが、その他の日暮真央(演:真魚)が別の撮影をしているシーン(SKIPシティ外観)やテレビ局のシーン(映像ミュージアム他)などは、SKIPシティでロケ撮影されています。

映画の中の監督・日暮(演:濱津隆之)の家は、なんと上田監督ご自身の自宅だそうです。ただ、それ以外のシーンは、SKIPシティで撮影しています。

――映画『カメラを止めるな!』について、もっとお聞きしたいです!

千賀さん:
映画『カメラを止めるな!』の、SKIPシティ内のロケ地をめぐるイベントも実施したんですよ。中には映画を25回観たという方や、手作りのTシャツを着てこられる方がおられました。しかもひとりだけでなくそんな方がたくさんいらっしゃいました。

当初、「2館上映だね」「今度はあそこでも上映するらしい」「口コミで話題になってるらしいね」と、“カメ止めブーム”が徐々に熱くなっていることを話では聞いてはいました。

しかし、実際にそうしたオリジナルTシャツを着てこられる方を見て初めて、ファンの熱量の高さを肌で感じました。

 

――著名な俳優さんが出演している訳ではない映画なのに、それはすごいことですね

千賀さん:
そうです。特定のキャストのファンではなく、作品そのものに熱量の高いファンがついていることが、一番すごいと思います。今度はフランスでリメイクされるそうです。

 


(※映画『カメラを止めるな!』の総指揮をとった、上田慎一郎監督)

 

――今後、“第二の上田監督“を生み出したいですね

千賀さん:
上田監督はまさにモデルケース。
理想的な支援ができました。当館では、上田監督と同じインキュベートオフィス入居者だった浅沼直也監督、中泉裕矢監督の3名が共同で監督した『イソップの思うツボ』という映画も作りました。上田監督は本作では脚本も担当しています。

今後の展望として、映像ミュージアムで制作プログラムを見学に来てくれた小学生が、映像クリエイターになり、映画祭に出て、世界へ進出して行く・・・。そんな映像の入り口を作る施設でありたいです。まず、映像の制作に興味を持っていただくことが、SKIPシティの役目のひとつかなと思って活動しています。

映画『カメラを止めるな!』は、若手のクリエイターが制作費はなくても、単館でも、全国そして世界に飛び出す映画が制作できたという道が拓けていくのを示してくれました。広告費が少ない作品でも、きちんと届けることはできるのだなと。私たちも大変刺激を受けました。

 

――まさに、川口市から、埼玉から、世界に飛び出す映画の発信地になりたいですね!

千賀さん:はい、そうですね。

 

「映像ミュージアム」で開催中!企画展『アイカツプラネット!in SKIPシティ 〜なりたい私へ、ミラーイン☆SKIPシティでアイドル活動!〜』。子どもたちが映像技術に触れるきっかけに

――子どもたちのために、展示中の『アイカツプラネット!in SKIPシティ』(2021年5月現在)についても聞かせてください

千賀さん:
企画展もまた、映像に興味を持っていただくための“入り口“として位置づけています
。常設展とは異なり、企画展ごとにアニメやゲーム、先端映像などを、テーマを決めて紹介しています。今回の「アイカツプラネット!in SKIPシティ」でも、「実写×アニメ」の世界を体験することをきっかけに映像技術に触れてもらいたいなと。

【企画展】アイカツプラネット! in SKIPシティ
~なりたい私へ、ミラーイン☆SKIPシティでアイドル活動!~
「アイカツプラネット!」の世界がARやVRなどの最新の映像技術で体験できるとともに、制作の裏側を紹介する数々の貴重な初公開資料などを展示します。
■会期:2021年3月27日(土)~7月4日(日)
■開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
■休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
■会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
■料金:大人520円/小人260円/未就学児無料(常設展示も観覧可)
■問い合わせ:048-265-2500(映像ミュージアム)

 

動画配信サービス「SKIPシティチャンネル」をフル活用して、おうちで気軽に映像制作体験!

 

――「SKIPシティチャンネル」についてもおうかがいしてよろしいですか?

千賀さん:
「SKIPシティチャンネル」は、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」から発信している無料のオンライン動画配信サービスです。これは全世界からアクセスでき、読者のみなさん全員に楽しんでいただけることになりますね。

内容は、映像ミュージアムや公開ライブラリーのイベントの様子をはじめ、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭関連動画、埼玉県の魅力を発信する映像作品などをたくさんご用意しています。また、県内の小中学生が総合的な学習の時間などに制作をした作品も、当チャンネルでチェックできます。

また、コロナ禍でのおうち時間のおすすめは「at home〜めざせ映像クリエイター〜」です。「映像ミュージアム」が発信する“おうちで楽しみながら学べる映像”の動画シリーズです。2020年は新型コロナ感染症の影響で休館することも多く、来館していただけない状況の中、何ができるのだろうかと考えたんですね。そこで、自宅で気軽に楽しんでもらえる映像制作をテーマに動画をサイトにまとめました。


(※「at home〜めざせ映像クリエイター〜」に掲載の一部)

制作の難易度も簡単なものから少し難しいものまで幅広く、夏休みの自由研究などにも活用できるのでは?と思っています。こちらも、子どもたちが映像に関心を持つきっかけになると良いですね。

 

映画と作品制作陣を身近に感じられる貴重な機会「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」


――最後に、千賀さんの個人的なおすすめポイントや見所はありますか?

千賀さん:
映画祭がおすすめです。「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、2020年は新型コロナ感染症の影響でオンライン開催だったのですが、2021年はできれば会場で開催したいなと思っています。とにかく、映画祭は多くの方にぜひ来ていただきたいです。

映画祭と聞くと「映画に詳しくないとだめかな」とか、「作品を知ってないと」とか、ハードルが高く感じられると思います。でも、そんなことはないので気軽に来ていただきたいです。

監督や俳優をお招きして、作り手の話を直接聞ける機会がありますし、観客の皆さんの投票で決まる「観客賞」もあります。体験が価値ですので、とても貴重だと思います。

<SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021>
■会期:2021年9月25日(土)~10月3日(日)
■会場:SKIPシティ映像ホール他
詳細は、公式サイトや公式Twitterをチェックしてくださいね。
※公式サイト:https://www.skipcity-dcf.jp/
※公式Twitter:@skipcityidcf

状況によりオンラインになる可能性もありますが、ぜひご参加ください。

※すべての写真について、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」からご提供いただきました。

千賀さん、この度は取材にご協力いただきありがとうございました!

まとめ

伝説の映画『カメラを止めるな!』の成功。上田監督や俳優や制作陣が積み上げてこられた努力は言うまでもありませんが、「SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」の支援があってこそだったかもしれませんね。まさに、縁の下の力持ちといった力強い存在です。

とりわけ、映像の世界はとても華やかに私達には映りますが、時間や労力、人の力、そしてお金も莫大にかかる見えない部分は、いわば泥臭い世界です。多くのリソースを費やして作品ができあがり、その作品を観る人が受け取るまでがゴールです。

しかし、その映像制作〜発表までの各プロセスが個人レベルで行うことは非常に難しいのです。そのボトルネックの部分を「彩の国ビジュアルプラザ」は、具体的な支援を施し、制作者のよき理解者となってくれます。

先般のコロナ禍で、エンターテインメント文化存続の危機が叫ばれました。しかし、エンターテインメントは確実に人々の心を救い、前を向く力を湧き上がらせてくれる素晴らしい文化だと改めて気づいた方々も多いのではないでしょうか。

多くの人々の心を震わせるエンターテインメントの、特に映像制作の部分に関心をもってもらえるように。

「彩の国ビジュアルプラザ」では、さまざまな老若男女に関心を寄せてもらえるように、多角的な視点でイベントを企画実行されています。ぜひ、足をお運びください!

最後に、我が埼玉の「SKIPシティ」から、第2の上田監督が爆誕することを願いつつ、モリスギ!も引き続きエンターテインメントを応援していきます!

【施設の詳細情報】
・施設名:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
・住所:〒333-0844 埼玉県川口市上青木3-12-63
・TEL:048-265-2500(代表)
・公式Webサイト:http://www.skipcity.jp/
・公式Twitter:
SKIPシティ映像ミュージアム(@eizo_museum
SKIPシティ映像ホール(@skipcity_hall
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭(@skipcityidcf



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