【感想】映画『今日も嫌がらせ弁当』の魅力を全力レビュー。こどもの反抗期を乗り切るヒントが詰まった良作

こんにちは!モリスギ!編集部のナナです。

久しぶりに美味しいコラムの更新です。

突然ですが、『今日も嫌がらせ弁当』という映画を知っていますか?

この作品は、一般の方のブログ「Kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」からうまれました。

そもそも、ブログタイトル名だけでも強烈な印象。

・なぜお弁当なのに“嫌がらせ”なのか
・なぜお弁当ネタだけで映画化まで至ったのか

映画の魅力を紹介しつつ、映画と“お弁当”にこめられたメッセージについて深堀りしていきたいと思います!

映画『今日も嫌がらせ弁当』とは?

『今日も嫌がらせ弁当』は、2019年6月28日に公開された映画です。
(公式サイトはこちら → 映画『今日も嫌がらせ弁当』

原作は、Kaori(ttkk)さんの同名エッセイ(三才ブックス刊)。そもそもこのエッセイは、ブログが発端です。月間約350万アクセスを記録した『ttkkの嫌がらせのためだけのお弁当ブログ』から反響の大きかった弁当と日記を抜粋して1冊の本にまとめられました。
(原作の元になったブログはこちら → 『kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ』

気になるのが、“嫌がらせ弁当”をつくるきっかけです。高校入学と同時にはじまった、次女の強烈な反抗期。無視や威圧的な態度をとる娘に反撃する形として、ttkkさんは次女に“ウザい”弁当をつくることにしました。これを3年間毎日続けたというから驚きですよね。

映画『今日も嫌がらせ弁当』では、主役・シングルマザーのかおりを篠原涼子さん、娘の双葉を芳根京子さんが演じます。

編集部ナナ
編集部ナナ
反抗期の娘との仁義なき戦いに挑む篠原涼子ママ、貫禄ある!

子どもが高校生の時期の、どの家庭にも起きているであろう親子の壮絶なやりとりが描かれています。それを“嫌がらせ弁当”をクッションしてうまれるユーモアで、どことなくほっこりした空気感を観る側は受け取ります。張り詰めていた気持ちに刺さるものがあり、思わず涙があふれくるのです。

そこには毎日のお弁当にこめられた愛情はもちろんのこと、反抗期を乗り切るヒントが隠されていました。

お弁当の魅力と反抗期を乗り切るヒント。映画『今日も嫌がらせ弁当』の見どころ

親から娘への愛情をこれでもかと見せつけてくる映画『今日も嫌がらせ弁当』。その見どころを一つひとつひもといて見ていきましょう!

親子のコミュケーションツールとしての、メッセージキャラ弁

目と鼻の先の距離にいるのに、わざわざスマホで連絡をとる娘の双葉。「口があるならしゃべれよ…!」と憎たらしい気持ちだけが渦巻きます。でも、娘と話したい。どうすればいいのか。

娘の身の回りのことを心配して声をかければ、「ウザい」と返されるだけの毎日。こうなったら、もっとウザいことをやってやろうではないか! そうひらめいたかおりは、かわいいキャラ弁づくりを日課にすると決めるのです。

そう、嫌がらせ弁当は「娘と会話をするための手段」= 母の愛情なんですよね。

しかし、いいアイデア!と思いついたはいいけれど。問題は、とてつもなく時間がかかることです。

編集部ナナ
編集部ナナ
疲れ切ってかつネタ切れで誕生した貞子弁当、これぞ母の執念…!

キャラ弁を考える時間、食材を準備する時間、つくる時間、詰める時間、娘にわたす瞬間。
そして、子どもがランチョンクロスをほどいてお弁当箱をあけて反応を思い浮かべる。
「ごちそうさま」と食べ終えて、帰宅して空っぽの弁当を受け取る。

これだけの時間全部を含めて、「嫌がらせ弁当」です。

こんなに怖いビジュアルのお弁当ですが、栄養バランスまでも考えられたおかず。愛情しか感じません。

そして、双葉はこう言います。「嫌だからと言って残したら、負けたみたいで悔しい」。

反抗期だからこそ、お弁当を毎日全部平らげるのです。子どもは子どもなりに表面上は親の愛情を突っぱねながら、黙って受け取ってるんですね。

でも母には限界がきます。創作にはアイデアがつきもの。キャラ弁のネタが尽きて困ったかおりは、長女の若葉にアドバイスを請います。

「メッセージをつけるのはどう?」

かおりの嫌がらせは、ますますパワーアップしていきます!

細かに描かれた海苔のメッセージ。さらに時間がかかるじゃないですか。でもやるんです。コニュニケーションを絶やさないために。

親の立場でみると、愛情がぎゅっとこめられていて泣けてきますね。

“荒れ荒れ高校生の反抗期”に共感と、乗り切るヒントが見つかる…かも

高校生になる双葉の反抗期は、生意気な態度と無視、母への口癖は「ウザい」の連発という、筋金入り。自分の部屋には「勝手に入るな」のプレートをかけています。

双葉のこのヒリヒリした態度と闘うかおりと見ていると、子どもの反抗期真っ只中のママやパパたちは共感しかありません。「うちとまったく同じだわ…」とつい感情移入してしまいます。

お弁当でコミュニケーションを図るかおりにヒントを得て、「もしかしたらうちは違う方法で対策できるかもしれない」と励まされます。ママ友といいますか戦友を見ているかのような感覚になるのでしょう。

映像にのせられたイラストアニメ。小さな子どもも一緒に楽しめる

お弁当を通じて親子の絆を描いた『今日も嫌がらせ弁当』。2019年開催の、キネコ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。

キネコ国際映画祭とは、東京で行われている子どもたちのための国際映画祭。映像を通じてやさしいメッセージを届け、善悪の判断や思いやりなど、子どもたちが健全に成長するために親子で一緒に楽しめる映画を上映する活動をしています。

『今日も嫌がらせ弁当』は、既出の楽しい&おもしろいキャラ弁がたくさん出てきます。だから、小さな子どもも楽しめます。お弁当の中で、キャラクターがしゃべったり動いたりしちゃうんです!

また冒頭で、舞台の八丈島について説明するカットがありますが、それもイラストをまじえて楽しくコミカルに。

そして劇中には、東京に住むシングルファザーと5歳の男の子についてのエピソードが少し描かれます。こちらは「冷凍食品が多くてごめんね」と息子に謝るようなお料理が苦手なパパですが、かおりのブログを見かけたことをきっかけにキャラ弁づくりにチャレンジします。

キャラ弁づくりが苦手なママやパパは、この親子のエピソードに自分を重ねて、ぐっとくるでしょう。

料理が得意でも苦手でも、こどものためにつくるお弁当への根っこは同じ。子どもたちに喜んでもらいたくて、ちょっぴりブサイクな弁当をつくってしまうことだって多々あります。

小さな子どもたちは、この映画を見てどんなことを感じてくれるのでしょうか? 感想を聞いてみたいですね!

映画としての刺激は一切なし。でも普遍的な家族愛にゆったりとひたれる

育児に没頭する日々は、めまぐるしく時間が過ぎます。親子ともに目の前のことに一生懸命に取り組んでいるうちに、大切な何かを見失うことだってあります。

この映画『今日も嫌がらせ弁当』は、特別で刺激的なことは何ひとつ起こりません。八丈島に住む一組の親子の暮らしを、淡々と観察させてもらっているような感覚になります。

まるで、普通の家族の日々を客観的に見ているかのようです。

自分たちのバタバタ過ごす暮らしをカメラに収めない限り、毎日の暮らしを丁寧に顧みることは不可能です。しかし『今日も嫌がらせ弁当』は、どこにでもいる親子代表として、当たり前に過ごしている普通の日々を見せてくれます。

「ああ、私たちもこの親子と一緒だな、きっと大丈夫だな」

いつもはケンカばかりで見過ごしてしまう家族愛にゆったりと浸れて、幸せな気持ちを再確認できることでしょう。

口コミで「2時間ドラマでいい」という意見を見かけましたが、私はそうは思いません。

誰にでもある当たり前の風景だからこそ、折に触れて鑑賞できる映画という形がベストなのでは?と感じました。

親子関係がうまくいってないのかな、と不安にかられるとき。またゆったりとした気持ちで見返して背中を押してもらう、戦友のような作品ではないかと思うのです。

おまけ:キャラ弁苦手なかあちゃんがチャレンジしてみた

『今日は嫌がらせ弁当』のいちばんのメインがキャラ弁。ということで、食材に限り細かい作業が苦手な編集部ナナがさっそくチャレンジしてみましたよ。

タコさんウィンナー。シングルファザーの信介にキャラ弁の基礎を教えるため、かおりが最初に伝授した技です。

編集部ナナ
編集部ナナ
ああ無残。足の切り込み入れすぎ…スライスチーズの白目はストローでくり抜くのですが、ないため海苔のみで(笑)

このくたびれたタコさんウィンナーを見た10歳の娘は、「わあ、かわいい!」と言ってくれました(泣)

キャラ弁づくりが苦手な母にとっては、子どものやさしさが身にしみますね…。

そういえば、私事ですが保育園遠足でのお弁当のときには娘に喜んでもらいたいと「ふなっしー弁当」を一度だけ作った覚えがあります。

当時娘が大好きだったゆるキャラ・ふなっしー。ブサイクな出来栄えは逆にいい思い出になり、親子の会話で今でも登場します。

おやつの時間にちょっと気持ちに余裕のあったとき、おにぎりに顔のパーツをつけたこともありました。

こう見ると、キャラ弁はうまい・ヘタではないということがわかります。まさに子どもとのコミュニケーションのきっかけになるものと改めて気づかされました。

子どもがたまに持っていくお弁当の日は、苦手でもちょっとがんばってみようかな。

キャラ弁が家族の思い出になるからこそ、そう思うのは自然なことかもしれないですね。

まとめ

お弁当は、コミュニケーションの手段にもなる。反抗期だって乗り越える力がある。

映画『今日も嫌がらせ弁当』は、お弁当の底知れぬパワーをやさしいメッセージを添えて観る人に届けてくれます。

ストーリー中盤、双葉がかおりに弁当作りを教わるシーンがあります。

そのときかおりが双葉に伝えていたことは、弁当づくりの本質を突いていました。

いちばん大事なのはね、おいしく食べてーって気持ちをこめることなの

当メディア「モリスギ!」を運営している株式会社ラックは、ロケ弁を作って配達しています。居酒屋事業では、お求めやすい価格で日替わり弁当をご提供しています。

まさに同じ気持ちで、毎日お弁当を作らさせていただいています。

お弁当を通じて、誰かを励ましたり励まされたり。

かおりのように、毎日のお弁当で「がんばって!」というメッセージを伝えていけたらなと思っています。

最後に、映画公開の感謝をお弁当で伝える、原作者kaoriさんのこの力作。
このサプライズプレゼントには篠原涼子さんをはじめとするすべての方が感涙したでしょう!
まさに“愛情”そのものですね。



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